【神商連しんぶん2020年04月号】
  • 年金つぎ込んでしのぐ毎日 磯料理 あじろ亭

    三崎のまぐろをはじめ、美味しい魚の定食で喜ばれてきた「あじろ亭」は西貝周作さんと偉世子さん夫妻が営む店です。偉世子さんのおじいさんが昭和28年に開業し、お母さんを経て三代目。

    新型コロナウィルス感染のニュースが聞かれてから、お客さんの来ない日が続いています。昨年10月の消費税増税から売り上げが落ちていたところへの追い打ちです。

    あじろ亭の先には、三浦半島の観光名所、油壷マリンパークがあり、その観光客がお店のお客さんの大半を占めています。3月4日から休館となったマリンパークは、いまだに営業再開のめどが立っていません。三崎口からのバスが着いても観光客はなく、平日はまったくお客さんゼロの週を繰り返しています。

    先月の売り上げは、昨年同月比で半分以下。それでもシャッターを上げないわけにはいかず、8〜10万円になる水道光熱費やガソリン代などの経費は出ていく一方です。店を開けていれば、仕入れをしないわけにはいきません。もともと利幅の少ないまぐろは日持ちせず、自分たちで食べるか、ご近所の農家の野菜と物々交換しています。

    この間の仕入れや経費の支払いは、サラリーマンだった周作さんの年金で賄っています。生活費も出ない中、預金がどんどん減り、互いの老後を考えると不安な日々です。「当面、消費税を納めなくていいとか、水道光熱費など経費の補助とか、今までにないような支援がないと時間の問題で店も暮らしも持ちません」と、夫婦で声を揃えます。

  • 活気戻るまでの支援策を 茶房スナック CABIN

    辻あゆみさんのお店「CABIN」は三崎港の入り江の一角にあり、以前は船が着けば船員たちで通りはあふれ、賑わった界隈です。生まれ育ったこの町で、お母さんのお店を継いで頑張るあゆみさん。

    商店街も高齢化が進み、同世代はほんの数人です。お互いの店の様子もよく分かり合い営業を続けてきました。「一次会の店」とあゆみさんが呼ぶ親しい料理屋などもコロナ問題が起きてからキャンセル続きです。「お客さんたちの二次会よろしく!」と声がかかり、そこからがお店にお客さんが流れてくる循環もすっかり絶たれてしまっています。通常なら歓送迎会が続き、連日賑わう辻さんの店もこの春、予約はいっさい入っていません。「地元の常連のお客さんを大事にしていますが、団体の方々もお店の維持には欠かせないです」と深刻です。

    いま、店の開店時を任せている友人は横須賀市内の人材派遣会社で配膳の仕事をしていました。コロナウィルス問題が浮上したとたんにすべての仕事がキャンセルとなり、3週間自宅待機を余儀なくされ、収入が絶たれました。何の保証もなく、家賃の支払いにさえ苦慮する事態を聞き、身内の介護問題を抱えているあゆみさんは、ならば自分に代わって店の開店時を手伝ってくれないかと声をかけました。

    あゆみさんの長男の子龍さんはIT関連会社に勤め、地域で起業する青年たちとの活動に大変やりがいを感じていて、この町の活性化や人のつながりを豊かにしたいと語ります。コロナですっかり疲弊している商売を持続させる支援策や地域にお客さんが戻ることを親子で願っています。

  • 業者の実態 国へ働きかけを!―固定費補助求め―

    神商連は2月26日、消費税10%増税と新型コロナウィルス感染拡大に関する緊急対策を神奈川県に要請しました。「中国から部品が入らず、自転車が売れるこの時期困っている」「消費税の滞納があり、仕事も先送りで資金繰りが大変」などの声を届け、@家賃・リース代・人件費などの固定費補助費の創設A返済据え置き期間の長期化、利子・保証料の補助、税金滞納者にも柔軟に対応することなどを要請しました。

    対応した産業労働局企画調整担当課は、「このような生の実態を知らせてくれるのはありがたい。融資制度についてはすぐに検討したい。固定費補助は国への働きかけも含め検討したい」と答えました。

  • 国保に傷病手当を!―家族従業者は対象―神婦協が県に要請

    神婦協は3月27日、神奈川県に対し、長年運動を続けてきた国民健康保険に傷病手当の支給のための財政支出を国に求めるよう、要請し懇談しました。

    このほど、政府の緊急対策で、国保加入者(給与支払いを受けている「被用者」のみ)で新型コロナ感染者に対する傷病手当給付の条例改正が進められています。

    県への要請で神婦協の目黒千惠美会長は、「中小業者はいま、コロナ問題で仕事が激減している。その上、病気になれば何の保証もなく死活問題になる。給与所得者同様、いまこそ傷病手当を業者にも拡大してほしい」と訴えました。

    県医療保険課の神田敏史さんは、「健康保険法で傷病手当の対象に事業主は入っていない」と答えたのに対し目黒会長は、「今回の支給対象に家族専従者は対象にならないか」と尋ねると、「青色申告の場合そのようなことになります」と回答しました。

    目黒会長はさらに、「同じ保険料を支払っているのに事業主は対象にならないのはおかしい。減免や分納など納めることに考慮するだけでなく、命を守る憲法にのっとり傷病手当は実現すべきです。国に声を届けてほしい」と要請し、再度の懇談を約束しました。

    神婦協は今後も、健康保険法において、事業主も被用者と同様の対象にすることや、自治体任せにせず傷病手当支給に必要な財政支援を国に求めて運動しようと話し合っています。

  • 実態出し合って経営・暮らし守る制度活用を 厚木民商

    新型コロナウィルス感染は、国内はもとより全世界的に拡大する一方で、先行きがみえない状況の中、民商会員の商売が直撃されています。厚木民商では悲鳴を上げている会員の声が日に日に高まり、3月26日、第1回目の「緊急コロナウィルス感染拡大対策会議」を開きました。

    市内で30年以上にわたりエステティックサロンを経営している生田さんは、地元の中高年女性が長年の顧客です。外出を控えることが最大の予防と言われる中、お客さん来店ゼロの日が何日も続きました。「生きていけない!店の経費も毎日の生活もどうにもならない。みんなどうやって生きているの?」と訴えます。

    八百屋で、売り上げの8割は学校給食への納品という高橋さんは、配達ができる業者が少なくなる中で頑張ってきました。政府の緊急指示で実施された3月の学校休業で給食も突然にストップし、売り上げが途絶えています。今月はなんとか2月の売り上げでつないでいますが、4月の資金繰りのめどが立ちません。また、新学期以降の仕事の見通しもどうなるかと不安がつのります。

    味噌こうじ製造販売の碇さんは、店のかたわら、さまざまな教室に呼ばれ講師として全国各地に出向きます。しかし、企画されているイベントはことごとく中止となり、外での仕事がなくなりました。自宅では味噌仕込みが今日も続いていますが、収入が激減です。

    お互いの現状を出し合ったあと、「新型コロナウィルス感染症特別貸付」(日本政策金融公庫)、など、この窮状で活用できる制度について学びました。また、景気対策資金(別枠資金)の活用、信用保証料補助制度の拡充、利子補給制度の拡充など厚木市独自の施策も知りました。

    とりわけ参加者の関心を呼んだのが社会福祉協議会を窓口とする「緊急小口資金」「総合支援資金」です。

    ◆新型コロナウィルス感染症による経済への影響による休業など一時的な資金が必要な方への緊急融資

    ◆生活の立て直しのための生活支援資金の貸付ーこれらを通じて、非正規や事業主など生活困窮となった人へのセーフティーネット強化、とうたわれており、償還免除付き据え置き期間延長や償還期間延長など特例措置が盛り込まれ、手続きの緩和も推奨されています。参加者は、「これはさっそく申し込みにいこう。

    このようなさまざまな制度を活用して、みんなで商売つないでいこうよ」と元気に。集まればいろいろな知恵が生まれ、先が見えてくることを実感する学習会となり、継続しようと話し合いました。

  • 商売・人生を語る「もうひと声のサービス受け取ってください」
    多摩麻生民商「(株)首都圏施設サービス」川田 祐司さん
    川崎市麻生区五力田3-6-3 TEL:044-955-1156

    私は水道屋の2代目です。昭和51年に川崎市で両親が始めた会社で、バブル景気の頃は大変忙しく、同時にマンション2棟の設備工事をやっていたり、大変活気のある時代でした。バブルが弾けると、仕事はそこそこ忙しいのに従業員に給料を支払うと手元にお金が残らなくなり、しまいには借金を重ねることになりました。

    私自身も水道の仕事の他にバイトで食いつなぐ状態になりました。心底業界に嫌気がさした私は、結婚を機会に若い頃からの夢、海で働きたいと思い、潜水士の資格を取得して、海洋土木の会社に上手く潜り込む事に成功しました。そこは正に男だけの会社で、厳しい海の仕事です。体育会系のノリが、案外水が合ったみたいで楽しく仕事ができました。船に乗って現場へ通ったり、空港建設、架橋工事、洋上での作業や潜水作業等で毎日チョットした冒険が出来て退屈することなく大変充実した時代でした。そんな折、上司から勧められた1級土木施工管理技士を受験し見事一発合格できました。その時は9・8%の合格率だったので、上司に大変ほめられ、妻も喜んでくれました。その後、母が脳出血で倒れ、水道屋に戻る事になり、経営全般を私が見ることになりました。

    業務内容を見直し、下請け仕事はやめ、お客様との直の仕事を重視しています。修理の依頼が来ればただ直すだけだはなく、「ここに蛇口を移動するとよいのでは?」など、現場でお客様に提案するように心掛けています。最近は財政状況も良くなり、会社も存続していく事が出来るようになりました。小学校5年と中学2年の息子たちも休日に機材の洗浄などを手伝ってくれる歳になりました。彼らが望むなら跡継ぎにしたいと思います。

  • ふいごとそろばん 秦野民商 府川 一敏さん

    健康診断の結果を聞きに病院へ。コロナウィルス予防で来院している人は皆マスク着用。姿の見えない困ったやつ。順番を待つ間、本立てにある週刊文春を手にとる。文春も完売だとか

    ▼料亭から出てきた加計孝太郎さんに記者が名乗ると腰をぬかし、その場に倒れこんでしまったとのこと。店の人たちが慌てて中に入れ、しばらくして平静を取り戻した加計氏。記者の質問にも答えず、無言で車に乗り込み帰っていったとのこと。思わず読みながら噴き出してしまった

    ▼また、森友学園の国有地売却の件で、公文書改ざんを財務局長に指示され、泣きながらの抵抗。むなしく自ら命を絶った記事に怒りがこみ上げる。これに関わった数人の上司は昇格。おどおどと虚偽答弁した佐川は退職金をもらい国税庁長官に天下り。なんか、おかしいよね!

    ▼元文科省事務次官の前川喜平さんがコメントをしていたけど、「あれでいいんですかね?自分を偽り続けることはつらいと思いますけどね」と言っていたのを思い出す。金や地位のために真実を欺いて生きる。私にはもともとないけど、今日この頃、真実に生きる大切さがわかる年齢にようやくなったような気がします

    ▼民商の仲間に育てられ、助けられ、いまの自分があります。みんなと大切な時間を共有し、歩んでいけたらいいと思った。常任理事会の帰り、相鉄線の電車の中で。仲間ってありがたい。

7つのまちがいさがし

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