【神商連しんぶん2020年05月号】
  • 地域の業者に制度知らせて―大和民商―

    街の切実な声をつかんで

     

    「しばらくの間、休業します。再開できた折りには、またお立ち寄りください」「本当に残念ですが、もう限界です」―、などと、シャッターには次々と貼り紙が。4月11日、大和民商は地域の商店街3カ所に、「コロナ緊急アンケート」を配布しました。

    コロナ感染の不安が広がっている中、参加者は注意しながら配布しましたが、アンケート用紙を見た店主などから声がかかります。「売り上げは激減。店を開けていてもお客さんがまったく来ない」「店は開けても閉めても、固定費はかかる」と切実な実態です。

    大和駅前商店街のクリーニング店は、「本来なら冬物の依頼でとても忙しい月ですが、例年の半分以下です。もうやっていけない」と肩を落とします。

    この日配布した800枚の中から、日々アンケートが届いています。

     

    知恵を集めて商売つなぐ

     

    4月9日と17日の2回「コロナ相談会」を開催し、会外の人を含む延べ26人人が参加しました。

    小林事務局長が、国や県、自治体などの、「いま使える制度」として融資や助成金、納税や社会保険の猶予などについて説明し、参加者はそれぞれ、自分はどれを活用するのがふさわしいか、と考えます。

    自己紹介しながら、商売やくらしの状況を出し合いました。「輸入を中心とする通販の仕事。イタリヤやフランスなど、ヨーロッパのコロナ事情もあるので、今後の見通しが心配。借入を検討しようと思う」(アパレル関連)、「夕方開けても、午後7時ラストオーダーで8時には閉店。これでは商売にならない」(居酒屋)、「お客さんと接近する仕事なのでこのまま続けることは無理。しかし閉めればまったく売り上げにならないし開けてはいるが悩ましい」(美容業)など、苦しい実態が出されました。

    休業補償が不十分なので、融資でつなぐことにする―、と5人が政策金融公庫への申し込みの手続きを進めることにしました。会外からの参加者は、「入会を検討します」と帰りました。

     

    融資実現でひと安心

     

    この間、学習会に参加した会員など12人が融資を申し込み、現在5人が総額2600万円の決定となっています。

    オーダー家具製造販売の会員は、昨年の消費税増税で仕事が激減し、コロナの影響でほぼ注文は延期です。オリンピックの通訳用のボックスの注文もありましたが、破談となりました。これまで何回か政策金融公庫を利用していましたが、今回は早く実行されて助かった、と話します。

    飲食店経営の会員は法人でした。消費税増税で落ち込み、従業員の社会保険の支払いに苦しみ、法人を解散して個人事業で生き延びる道を選択した矢先のコロナです。もう借り入れしなくてはやっていけない、と300万円の申し込みで実行されました。

    展示即売がメインの呉服商会員は、イベントが軒並み中止となり、売り上げ激減で600万円の融資が実行されました。

    塗装業ほか、2人の会員も合わせて900万円の申し込みで実行されています。

  • 固定費補助は急務! 神商連が県に要請

    神商連は4月7日、「消費税とコロナ感染から中小業者の暮らしを守る緊急要望(7項目)」を神奈川県に届け交渉しました。

    参加者は「東日本の時は対策が取れた。今回は見通しが立たず、固定費を補助する制度を急いでほしい」(横浜緑民商)、「緊急小口資金を社会福祉協議会へ申し込みたいが、窓口が混んでいて5月半ばになると言われた」(湘南民商)などの実態を紹介し、改善を求めました。交渉の中で政府が発表する支援策も体制が弱く、事実上実施されていないことが浮き彫りになりました。県からもこのような実態を国に知らせ、県民・中小業者の目線で要求を実現するよう求めました。

    交渉後は生活援護課に行き、緊急小口資金の申し込み・実行を急ぐよう要請しました。

  • 国保に傷病手立て 家族専従者はすべて対象 神婦協が要請

    神婦協は4月16日、国保加入者がコロナ感染した際の傷病手当の対象は被用者とされている件で、事業主と白色申告の家族専従者も対象とすることと、財政支援を国に要望することなどを要請しました。

    政府の緊急対策で、神奈川県は県内の自治体に向け、Q&Aを送付し、それぞれ条例制定が進んでいます。今回の要請に対し、県の健康福祉局は、「今回の緊急対策では、家族専従者は傷病手当の支給対象となり、Q&Aで市町村に通知しています」と答えました。青色か白色かの区別なく、家族専従者は被用者とすることを確認しました。

    3月26日の政府の厚生労働委員会では、厚生労働保険局長が「(支給対象の拡大も)市町村長の判断で可能」と答え、個人事業主も対象にする道を開いています。しかし、国の財政支援はなく自治体任せとなっている問題で、神婦協の目黒千惠美会長は、「財政規模の小さい市町村任せでは実現できない。緊急事態なのだからすべての事業主にも国の責任でお金もきちんと出してほしい。私たちと一緒に県も声をあげてほしい」と強く要望しました。県は、「要望の内容は県から国へ口頭で伝えることができます。皆さんもぜひ、国に要望してください」と答えました。神婦協はこの後すぐに、加藤勝信厚生労働大臣にあて、要請書を送付しました。

  • コロナ感染拡大による影響 神商連アンケートより

    神商連は新型コロナウィルス感染拡大が中小業者の経営とくらしに及ぼす影響調査を実施しています。4月22日現在、県内92人から回答が寄せられています。

    ◆新型コロナの影響
    ・ある―73件(79・3%)
    ・ない―3件(3・3%)
    ・これから―16件(17・4%)
    ※営業の自粛が呼びかけられている飲食業が92・6%と高く、次に「濃厚接触」になる理美容が85・7%

    ◆どんな影響が?(複数)
    ・売上減―68・5%
    ・営業自粛―41・1%
    ・資材不足―20・5%
    ・取引先縮小―20・5%
    ※営業自粛の影響は、飲食店で92・6%、理美容で85・7%

    ◆2月以降の売上
    ・増えた―1・1%
    ・変わらず13・0%
    ・減った―83・7%
    ※飲食店は全員が「減った」理美容は85・7%が「減った」

    ◆減った割合
    ・1割未満―3・9%
    ・1〜2割未満―15・6%
    ・2〜3割未満―14・3%
    ・3〜4割未満―16・9%
    ・4割以上―41・6%
    ※飲食業4割以上は57・1%

    ◆具体的損害
    ・建設―材料不足。現場がストップ
    ・製造―親会社から仕事が来ない
    ・小売り―お客減少。商業施設が休業。補償がない
    ・飲食、理美容、サービス―自粛でお客減少
    ・運送―キャンセル。業務縮小。集金できない

    ◆要求
    ・家賃や人件費、水道光熱費、リース代などの補償。簡単で迅速に誰もが受けられる補償
    ・保証料なしの無利子の融資。手続きの簡素化。すぐ実行できる体制強化
    ・消費税をはじめとする税金の免除
    ・公共料金の免除
    ・とりわけ介護分野で消毒液やマスクの供給

  • 商売・人生を語る「仕事を通して人は成長する」
    湘南民商「エコストア パパラギ」武本 匡弘さん
    藤沢市鵠沼石上1-3-6 TEL:0466-50-0117

    29歳でダイビング会社を起業、58歳で引退、後輩に全てを譲渡しました。 引退時60人の正社員は全員正雇用にこだわってきた結果の数、障害者雇用は1名聴覚障害の女性プロスタッフで、国内では他に例がない。彼女も勤続20年になり感慨深い。年商7億、国内外で14店舗、本社は自社ビルで、これらすべて後輩に譲渡した。

    創業社長としての30年間、最初の10年は基礎作り、その後の20年は後継者の育成に費やした。 創業時から自分の目標は決まっていた。 それは、会社は人づくりの場であり「学習する組織」であるべきだ、というこ と、「仕事を通して人格を磨きともに育ちあう」場でありたいということだった。

    そのために、「競争原理を持ち込まない」こと、業績を個人の努力に求めない事を徹底した。 それは個人の尊重でもあり、民主的経営の基本でもある。不思議にそのほうが業績も上がった。 引退した理由は、これ以上長く居ると彼らの主体性が弱まり依存度が高まると 感じたから、つまり自分の役目は終わったからだ。

    引退して5年目、昨年再び起業した 社員は2人の息子、ゼロからの仕事づくりを教え、「人は決して社会から乖離して生きていけない」ということを伝えている。当然、業務時間の中で社会のこと、地球環境のこと、平和のこと、これらを学習する時間を最も重視している。 今でも「仕事を通して人は成長する」という信念に変わりはない
    (竹本匡弘さん)

    藤沢駅から5分ほど。白と青を基調に、さわやかな湘南の風が吹いてくるような「エコストア パパラギ」があります。

    環境活動家の武本匡弘さんが昨年5月にオープンしたエコストアと不動産部門を2人の息子さんが取り仕切ります。店内には食材や雑貨が並び、一つひとつ、丁寧な説明書きが添えられています。作り手の思いが伝わり、やさしい気持ちに。透明の瓶が並ぶ、ナッツやお茶の葉、洗剤などの量り売りコーナーは楽しく、戸惑いながらもついその蛇口を開けたくなります。

    武本さんはプロのダイバーとして多くの人たちが海や自然に目を向け、自然から感じ取る力を養えるようにと願い活動してきました。近年、海や気象の異変に気づき、太平洋を航海し、観察を続けています。そして衝撃を受けたのが海に大量に浮かぶプラスチックごみ。これらは漂流し、自然豊かなミクロネシアの島々にも打ち上げられていることです。大きな危機感を抱き、全国で海洋汚染を伝える講演を続けています。

    人の暮らしにやさしい物があり、化学物質不使用の住まいを紹介する空間、ぜひ訪ねてみませんか。

  • ふいごとそろばん 伊勢原民商 高橋 克彦さん

    大山の桜も満開で美しいが観る人がいない。世界的に蔓延して今なお猛威を振るっている新型コロナウィルス、人類が生きる価値観を替えなければならない事態かもしれない

    ▼今月の材料代を振込に信金に行くと、融資の相談もしてくださいとの事。定期を崩して材料代に充てるも、仕事が切れて先の見通しが立たない

    ▼年金をもらう歳になったが、初めての年金は確定申告の消費税に消えた。友人の引っ越しの手伝いでの帰り、海老名サービスエリアで食事をしたが、夜7時半だというのに夜中みたいで観光バス1台も停まっていない

    ▼緊急事態宣言が全国に出された。一人10万円も欲しい人は手を挙げてと言う。後手後手の安倍のコロナ政治。国民の命は守られるのか。神商連名誉会長だった露木公一さんの第八歌集「生きる」が本棚にある。生きるヒントを探してみようと思う

    ▼「苦しいときはよく方向を見失う。突然暗がりに放り込まれるとその瞬間、何ものも見えないようになるが、しばらくじっと腰を据えておれば次第に心眼は開かれ、必ず突破口を見つけることができる」―瀬長亀次郎。一九五四年11月21日「獄中日記」より。私が生まれた年です。2020年、令和2年、大変な年になったけど、民商の仲間とともに生きる。

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