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貸しはがし是正を求めて金融庁と交渉 湘南民商
消費税増税に次ぐコロナ感染拡大で業種を問わず商売は厳しさを増しています。中小業者の営業を支える地域の金融機関の姿勢が問われています。湘南民商は、政府の方針に沿った適切な対応を求めて行動し、仲間の商売存続のために力を合わせています。
このほど、相談で湘南民商に訪れ入会した鶴田昌也さんは、鎌倉市で医療関係の広告代理店を経営しています。
およそ10年にわたって取引があったメインバンクの信用金庫に対し、業績の悪化から条件変更を申し入れました。そうしたところ、信金は一括返済を求めると同時に今後の取引を中止し、さらに自宅を競売にかける旨の回答を出してきました。
鶴田さんから相談を受けた湘南民商は、鶴田さんと知り合いで民商を紹介した戸塚民商鎌倉支部の若林支部長にも同席してもらい相談会を開催しました。コロナ感染拡大の情勢を反映し、金融庁は金融機関に対し、「中小企業に寄り添った金融事業をおこない、持続可能な経済社会の後押しに寄与すること」と要請していることを知りました。今回の事例はこうした方針から逸脱しており、改善を求めようと話し合い、交渉をすることにしました。思いがけない金融庁との交渉
畑野君枝衆議院議員の事務所に相談し、7月15日に金融庁との交渉が組まれました。当日は民商側から鶴田さんはじめ4人、金融庁からは担当者3人が出席しました。
鶴田さんはこれまでの経営の実情や経緯を文書にして金融庁に説明しました。若林支部長は「金融庁が出している素晴らしい方針に沿って金融行政をおこない、地域経済を発展させてほしい」とうったえました。畑野議員は「鶴田さんの説明と要望はよくわかった。その思いを金融事業者に働きかけてほしい」とし、金融庁が2月28日付文書「年度末における中小企業・小規模事業者に対する金融の円滑化について」で、金融機関に対し円滑な資金供給にとどまらず、借り手の営業の実状に応じた適切な解決案を提案・支援するよう要請していることを指摘しました。
これらの要請に対し金融庁は、同文書は毎年発行しているものであり、「年度末だけでなく常時求めているもの。中小業者の方々は、財政的基盤が弱い事から丁寧に対応する必要がある」との考えを述べ、信金に連絡し、再度話を聞くよう連絡すると答えました。
交渉のあと鶴田さんは、「民商の存在も知らなかった。ましてや、こうした金融庁の方針や交渉ができることも発想になかった。これまで資金繰りに走り、家財を売って返済にあてていた。会社をたたんでまた一からやり直すことも考えていた。直近の営業努力も実り、契約も決まりかけており、良い方向に向かえそうで本当に良かった」と話しました。
数日後、信金から「話し合いがしたい」と連絡が入り、湘南民商では「これからも力を合わせて会員の要求を実現していこう」と話し合っています。 -
こんなに減って助かった!みんなで国保料減免「民商の運動で柔軟に対応」厚木民商
仲間と6月25日に申請し、民商で最初に減免決定通知が届いた洋菓子店の井上哲二さんは「頑張ってよかった!こんなに減って助かった」と喜びます。原材料の仕入れ価格は上がり、消費税も増税となり、その上に2月から新型コロナ感染症の影響で店は存続の危機に陥りました。国保は法定軽減がかかっているので、通常の申請減免ができないと国保課に言われましたが、特別にコロナ減免制度ができたので期待していました。世帯主である自分の事業所得が激減しているなか、パートで働いている奥さんを「主たる生計維持者」として減免申請に臨みました。
当初、国保課は「主たる生計維持者は通常は世帯主なので」と渋っていましたが、全商連と厚労省の交渉内容も伝え、柔軟に対応するよう求めました。
結果は、平成31年分の第9期・10期分も対象となり、2回分保険料1万9800円のうち1万5400円が減額され、令和2年分19万5500円のうち15万1800円が減免されました。
井上さんは「商売を続けていく元気が出てきた」と、嬉しさも格別です。 -
こんなに減って助かった!みんなで国保料減免「業者の実情に寄り添って」厚木民商
愛川町で青果店を営む林節子さんは、国が打ち出した突然の学校一斉休業で3月から5月の期間、学校給食への食材納入がストップし、売上の大半がなくなりました。この間、国や町の協力金・支援金で必死に頑張ってきました。愛川町としても町民の暮らしや町内小企業の経営を守る町の施策を全世帯に届け、国保のコロナ減免制度の活用を呼びかけるなど、コロナ対策を重視して取り組んでいます。
夫の宣好さんの青色専従者給与支払い後の所得はマイナスでした。前年所得がゼロまたはマイナスの場合、減免対象保険料がゼロとなってしまいます。愛川町は、「青色専従者給与を引く前の『特前所得』を『主たる生計維持者の所得』と考える」として、審査してくれました。
結果は、令和2年度は1万6100円が5000円に、平成31年度第9期・10期は3900円が1100円に減額されました。町民の実情に寄り添う自治体の姿勢を感じています。 -
今日から助け合う仲間 ―新会員歓迎会― 秦野民商
今年に入り、5人の新会員を迎えている秦野民商は7月25日、その中の一人が経営するラーメン店で新会員歓迎会を開きました。3人の新会員を含む15人が参加し、和やかな交流となりました。消費税増税やコロナ禍で商売が大変ななか仲間になった新会員に、民商はどんな組織か早く知ってもらいたいと計画されたものです。
全商連創立60周年記念DVDを視聴し、自己紹介を行いました。会場を提供してくれた会員は、融資要求での入会。昨年開業しましたが、その際の改装経費が資金繰りを圧迫していました。コロナ対策も兼ねて融資を受けて今後に備えようと相談があり、実行されてほっとしています。
二人目の水道工事業の会員は、父親から商売を継いだ二代目。「資金繰りや決算を覚えたい」と入会し、民商で持続化給付金制度を知り申請を終えています。三人目の会員はペットサロンを経営しており、以前に民商会長だったお父さんから「商売するなら民商」と声をかけられ入会しました。
懇親会になるとお互いの商売の事や、コロナの心配などが出されましたが、「持続化給付金、実現したら助かるなー」などと期待も出され、話が弾んでいました。
民商の府川一敏会長は、「終息が見えないコロナ禍の中、民商に集まり情報交換しながら商売を継続するために力を合わせましょう。皆さんの入会を心から歓迎します」とあいさつし、心あたたまる交流になりました。 -
小規模事業者臨時給付金 民商の指摘で要件一部緩和 相模原民商
相模原市のコロナ対応独自施策の小規模事業者臨時給付金の支給要件は「今年の3〜5月のいずれか1カ月の売り上げが前年同月比で30%以上50%未満減少しており、かつ1〜5月の売上が前年同月比で50%以上減少している月がない事」となっており1〜5月の時点で国の持続化給付金に該当しないことです。
国の持続化給付金は個人の白色申告者に場合、前年同月と比較した場合、50%減となっていても、基本的には年間売上を12分の1にした額と比較して50%以上減少していなければ対象にはなりません。市の小規模事業者臨時給付金は国の持続化給付金と支給要件が異なるので、前年同月比で売り上げが50%以上減少となっていてもどちらにも該当しないケースがあり、民商は市に対し改善を求めました。
これに対し相模原市は、「盲点でした。売上が減少していて、国の持続化給付金に該当しない人を対象にするので申請してください」との回答がありました。 -
商売・人生を語る「美味しさ届け続けるまちのパン屋さん」
大和民商「そえだ製パン」添田 貴治さん
大和市鶴間1-12-1 TEL:046-261-0466子どもの遊ぶ声が聞こえてきそうな路地の角にあるパン屋さん。小田急江ノ島線鶴間駅が最寄りの「そえだ製パン」は今日も早朝から店を開けています。
店主の添田貴治さんは1939年福島県郡山市生まれ。集団就職ブームの流れの中、汽車で4時間かけて埼玉県蕨市のパン屋に弟子入りします。「15になるかならないかの歳。寂しくて家に帰りたい帰りたいと。でもやめて田舎には帰れないから頑張ったんだよ」と昨日の事のように話します。
最初の店で7年ほど修行し、縁あって鶴間のパン屋に就職。24歳で店の道具を譲り受けて独立しました。
身内の紹介で妙子さんと結婚し、以来、ずっと2人だけで店を切り盛ってきました。「年子の娘と息子をおぶったり抱いたりしながら働いて。無我夢中でしたよ!一緒に暮らしていたお父さんの両親にもずいぶん助けられてね」と妙子さん。学校給食や、何カ所かの病院への卸も相当量あり、朝は3時起床で夜遅くまで、仕込みや配達と働きました。「オリンピックの頃の景気はすごかったね。忙しくても本当にやりがいがあって面白かったよ」という貴治さんの言葉に、「そうそう!」と妙子さんが相槌を打ちます。
元気に働いてきた貴治さんは、数年前に心臓の病気で手術をすることとなり、人生最初の入院を経験します。「美味しいパンを待ってるよ」と地域のお客さんや納品先からかけられる声が大きな励ましになり、退院後、また2人のパン屋さんは元気に再開しました。
休日に吟味して仕入れる素材で、若いころから同じ製法で焼く素朴な手作りパン。添加物を使わず大事な工程をひとつずつこなし、時間をかけます。安い値段が気になり尋ねると、「もうそんなにお金は要らない。2人で食べていければいいので」と笑顔の妙子さん。「商売やるなら民商だよと教えられ入会して58年。仲間もいる。何もしなくなると退屈だし、体の続く限り頑張るよ!」と貴治さんの声は力強い。集まりの場で鈴木普民商会長から勧められ、コロナ対応の持続化給付金も獲得。まだまだ美味しいパンをお客さんに届けます。
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ふいごとそろばん 横浜緑民商 太田 資靖さん
私は40数年前に青葉台で創業した写真店です。創業時はまさにフィルム時代。まずフィルムが売れ、撮ったフィルムは現像しプリントして1500円余りになった。これを100本近く処理して、大いに儲けとなった。特に写真を必要とする会社関係をまわり、現像処理に精を出し、従業員20数名を抱え仕事した
▼ロータリークラブに入り、奉仕の世界の経験も積んだ。時が流れ、今はデジタルの時代。写真のショット数は増えるも、プリントはしない、写真屋にお金は落ちない。売上も20分の1にまでなった。加えてコロナ禍だ
▼生き残るため次々と手を打った。まず、低金利の融資を受けるべく横浜市の認定を取った。融資は即、成立した。次は持続化補助金の申請、こちらは全て電子申請だから苦手のパソコンと格闘し、申し込みを済ませた。待つこと2週間、遂に入金となり、助かったと胸をなでおろした
▼次は、家賃支援給付金を申し込むべく準備中だ。写真業界も大きく様変わりしている。各種イベントは中止や延期になり、収入が閉ざされている。同業者はライバルではなく、協力し合ってゆく時代となってきた。皆が争わず平和裏に商売を続けていきたい。