【神商連しんぶん2022年01月号】
  • 父の「タレ」を守る娘と孫 ―3代がつくり出す焼き鳥の味―【焼き鳥たんたん】
    湘南民商 藤沢市辻堂新町3-1-28 TEL:0466-37-4387

    辻堂で2012年10月創業の「焼き鳥たんたん」は、お持ち帰り専門店として出発し、地元の皆様に愛されるお店を目指し、日々精進しております。秘伝のタレと備長炭で焼き上げた自慢の焼き鳥を、ぜひ一度ご賞味ください―、とレトロな雰囲気をただよわせる店紹介のホームページから、お客さんへ呼びかけます。望月睦美さん、美里さん親子が営む「焼き鳥たんたん」は、お客さんに愛され、今日も元気に「いらっしゃいませー」の声が聞こえます。

     

    今できることをと新たな一歩

     

    睦さんのお父さんの落合豊さんはガソリンスタンドを経営し古くから民商会員でした。炭も扱い、地域でおいしいと有名な焼き鳥店に配達していました。そのつながりもあり、焼き鳥が好物だった豊さんはタレづくりに挑戦。器用さを活かし、石油タンクを改造し焼き鳥台をつくり家族や知り合いにふるまっていました。

    2人の子育てをしてきた睦さん。息子の崇徳さんは少年野球で頑張っていて、70歳で廃業していた豊さんの力も借りて親子参加の焼き鳥パーティーで、親睦をはかっていました。

    「美味しい!。店、やればいいのに」という声に、「無理!」と10年間言い続けていた睦さんですが、子どもたちも成人し、地域活動も後継者ができ、およそ10年前に一念発起します。タレもある!ガソリンスタンドだった場所もある!と条件は揃っている。能面、ジオラマ、油絵など、趣味が豊富なお父さんですが、手持無沙汰な様子も心配でした。そして、睦さんの気持ちを動かしたのは、3・11の東日本大震災でした。人のいのち、を思い、いま、目の前にあることを一生懸命やろうと。

    3年間の飲食店でのパート経験も力になりました。衛生管理、材料の仕入れや保存の仕方など、店の裏側を学び、いい!と思えるものを真面目に提供すれば大丈夫と決意します。

    パート先で知り合った仲間や家族など、まわりの人たちが応援団です。そして、睦さんの何よりの助っ人は、長女の美里さん。東京で一人暮らしで頑張っていましたが、両親の、「辻堂へ帰ってきて一緒にやろう!」の声に応えてくれて、いまでは、欠かせない存在です。

    お客さんと対面の焼き鳥台のみで始めたテイクアウトの焼き鳥屋さん。お客さんが増え、焼き上げりを待ってくれている人用に椅子を置き、暑さをしのぐパラソル、雨降りは申し訳ないので屋根、風が吹いて寒いので囲いが必要。せっかくだから、ここで食べて、一杯やりたいな!などの声に応え、いまは、10人が入れる店になりました。すべては、豊さんの手仕事です。

    吟味された鶏肉と備長炭、秘伝のタレが評判を呼び、遠方からも足を運んでくれるお客さんが増えています。6種類から始めた焼き鳥は14種類に増え、美里さんのアイデアで作られた、鳥だしで炊いたご飯を油揚げと豚バラ肉で巻いた「肉巻きおいなり」も大人気です。

     

    民商で学び今年も元気に商売

     

    睦さんを悩ませるのは、難しくなる記帳実務や、申告に関する新しい制度です。11月に開かれた県の青年部主催のインボイス制度学習会に参加しました。内容を知り、不安いっぱいになりましたが、「焦らないで、考えましょう」と声をかけてもらい、ひとまず胸をなでおろしています。

    「消費税の複数税率は実務が複雑なだけでなく、お客さん対応でも悩ましい。買ってすぐに食べてたくなるお客さんの気持ちに水を差すことになり、こんな制度、本当に腹が立ちます」と、業者泣かせの制度に怒ります。きちんと商売するために、まずはしっかり実務をと、事務室をつくり、パソコンを始めました。新しい1年も、家族やスタッフと力を合わせて美味しい焼き鳥を皆さんに届けます。

  • 新年あけましておめでとうございます! 神商連会長 富塚昇

    民商は、「誰ひとり取り残さない」を合言葉に、コロナ化で苦しむ中小業者を一人でも多く助けるために奮闘してきました。日本では感染者は減少しているとはいえ、新たにオミクロン株が広がりをみせています。一方、2年間続いた世界的パンデミックは今まで問題視されなかった部分を人々の前にさらけ出しました。

    まず格差の問題です。貧富の差は、ひと握りの富裕層と、残り99%の人々の資産が同額に近いという現実。また、男女間の格差も世界的に問題視され、ジェンダー平等の声が広がっています。日本で働く女性の生涯賃金が、男性のそれと比べ1億円も違うなども問題視されています。民商婦人部が取り組む「所得税法第56条」問題で意見書採択は559自治体になっています。

    もう一つはSDGs、持続可能な社会の問題です。格差社会の問題も、持続可能な社会の問題の一部で、このままの社会が続けば、人類の未来はありません。近年に見る、カーボンニュートラル、脱炭素社会を実現しつつ、生活を豊かに発展させるメカニズムがあるはずです。その中には、中小企業が得意な分野もたくさんあるはずです。政治がその方向に舵を切れば、必ず現実のものとなります。

    「矛盾は発展の大きな原動力」と言われます。新自由主義の政治をただし、コロナ禍で見えてきた大きな矛盾を発展の足掛かりにしようではありませんか。今年は参議院選挙があります。改憲策動を許さず、中小業者の営業と暮らしを守るために、読者・会員を増やし、会勢を大きくしましょう。ともに頑張りましょう。

  • 禰屋裁判 不当な逮捕・勾留から8年 差し戻し審で必ず勝利!

    12月7日、「倉敷民商弾圧事件・禰屋さん勝利をめざす全国オンライン報告集会」が開かれました。全国175会場、神奈川県内からは神商連会館をはじめ、17会場43人が視聴参加しました。

    代表世話人の全商連・太田義郎会長は「禰屋さんのたたかいは、業者の人権を守ることにつながっている。各地に支援の会をつくり、力を合わせよう」とあいさつ。弁護団の岡邑祐樹弁護士が裁判の進捗状況を報告しました。「査察官報告書が裁判で証拠として使えなくなり、柱が崩れた。そのことで検察は立証計画を1年も提出できず、提出されたものも証拠能力として疑問が残る内容。裁判が長期に開かれないのは、検察が起訴段階で証拠を吟味せず、査察官報告書に頼って立証するという安易な方針で公訴したことにある」と強調し、裁判への支援を訴えました。

    428日間を黙秘でたたかい抜いた禰屋町子さんは、「全国から寄せられた18万余の署名を提出した。勝ち抜きたい」と決意新たに訴えました。

    主催した全国連絡会から
    @団体・個人へ支援を広げよう
    A20万署名の早期実現
    B起訴取り下げ団体署名の推進
    C禰屋さんの訴えを聞こう
    D支援組織の総会開催
    E当面の全国行動の成功
    などが提起されました。

  • インボイス電子帳簿 デジタル化から個人情報守れ!

    12月5日に自治体学校の地域経済分科会が神商連会館でおこなわれ、民商や建設労連など14人の参加で、「デジタル化と中小業者」をテーマに討議しました。

    「インボイス制度と電子帳簿保存法の問題点について」をテーマに益子良一税理士が報告。2022年11月から実施される改正事項として、電子取引条項の保存が出力書面の保存をもって電磁的記録の保存に代えることができる措置が廃止されることを紹介。税務署員の恣意的な取り扱いで、紙で保存していた場合「青色取り消し」で圧力をかけることも予想されるとし、改正前の電子帳簿保存法第10条にあった「但し書き」を復活させて、紙でも保存を認めるよう改正する運動が必要と訴えました。また、電子インボイスでのすべての取引が税務当局に管理され、申告納税制度が根本から骨抜きになる危険性を訴えました。

    2番目の報告者として桜美林大学の藤田実教授が「日本のデジタル化の諸問題」をテーマに報告し、討議しました。「デジタル化は人々の生活をあらゆる面でよい方向に変化させるが、膨大な個人データがGAFAなどの巨大IT企業に集積され、資本が個人を監視する社会を作り出す。個人の情報をその人の意思に基づき、守り管理できる権利を確立することが求められる」と指摘し、「デジタル政府の実現には、国民の政府への信頼が鍵になる」と訴えました。

  • ちょっと待って!協力金への課税問題! 第17回全国業者婦人決起集会より

    12月5日に開かれた全国業者婦人決起集会で、厚木民商婦人部・菅谷悦子さんが飲食店の仲間たちに思いを寄せ、発言しました。

     

    《菅谷さんの発言》

     

    昨年からのコロナ禍の中、飲食店のママたちは必死で国や県からの休業や時短要請に応えてきました。県の協力金は申請から振り込まれるまで何カ月もかかり、家賃などの固定経費や生活費の捻出に頭を痛めてきました。まわりからの「たくさんもらえていいね」の言葉に傷つきながらコロナが1日も早く終息することを願ってきました。

    婦人部ではママたちの悩みを交流しようと、「マスクDEランチ会」を開きました。「100人入る店に2組しか来ない日もある」「協力金振込が遅く、いらいらして親子げんかになる」と胸の内を打ち明けあいます。

    県婦協の会議で学習した「協力金への課税」の試算は参加者にショックを与えました。これをきっかけに厚木でも試算運動をしてみよう、ママたちと試算をしてみました。

    今年の事業所得の試算をすると、休業が多いのでマイナス77万のお店からマイナス347万までとみんな赤字です。これに協力金をプラスすると、なんと776万から901万と今まで経験したことのない高額所得の見込みになります。

    税額計算に入り、所得税が75万から130万。住民税は62万から79万。「えっ!まちがってない?」とショックを隠せません。

    国保・介護・後期高齢者保険料が、少ない人で63万から77万円です。さらに事業税です。「なんで協力金が事業?」24万円から31万円となりました。しめて、313万、288万、231万です。

    役員会の呼びかけで、約20人いるママたちを対象に「税金試算会」を5回おこないました。また神奈川県婦協では浅井優子税理士を講師に、協力金課税問題を学習しました。「国の感染防止に協力してきたのに、商売の利益と同じようにまるまる課税するのか?」「緊急事態宣言が解除されてもお客さんがこない」「店を閉めてしまおうかと悩んで眠れない」ママたちの悲鳴が聞こえてきます。

    これからも仲間の苦しみに心を寄せ、試算運動を広げ、「協力金への課税」について話し合い、「すべての業種に補償を」「商売をつぶすな!」の声を広げていこうと話し合っています。

  • ふいごとそろばん 伊勢原民商 蟹澤 テル子さん

    若い時に民医連で働いたからか、生協を中心に平和運動にかかわってきました。県央・西湘地区で取り組まれた平和展では、我ながらよく動き回ったと思っています

    ▼サラリーマンだった夫が資格を活かした仕事で独立し民商に入ったので、私もだんだん民商運動が好きになっていきました。夫は民商の会長、私は婦人部長として活動する生活がずいぶん続きました。その夫も高齢には勝てずにこの2月に廃業しました

    ▼平成14年、長男が脱サラし製造業を起業し、3年後には外国人を中心とした派遣業の資格も取得したのが大当たりし、会社の売上も利益も順調に伸びていきました。私も役員となり、いま思えば多額の報酬をもらいました

    ▼しかし、外国人を使うことや派遣業の法律がどんどんと変わり、派遣業は厳しくなっていきました。平成24年、長男が二つ目の会社を立ち上げて、私が代表役員に就任しました。コロナの影響もあり仕事が少ないのが悩みどころですが、二人三脚で乗り越えます。

7つのまちがいさがし

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