【神商連しんぶん2023年09月号】
  • 低単価に追われる業者をインボイスが襲う―伝統技術の灯を消すな―
    厚木民商 木地谷 健悟さん

    民商・神奈川県連がおこなった会員の実態調査では、およそ半数がコロナ禍の影響から売り上げを回復しつつある中で、物価高騰が経営や暮らしを圧迫していることが示されています。相次ぐ消費税増税とインボイス制度の導入をめぐって、これまでの経営が大きく揺らいでいます。大工の道をまっすぐ進む木地谷健悟さん(厚木民商副会長・県連常任理事)は、中小業者にのしかかる困難を実感しながらも、民商の仲間と切り開いていこうと頑張っています。

     

    子どもからの夢は大工さん

     

    子どもの頃から、父の昇さんに連れられて建築現場が遊び場だった木地谷さん。将来は大工になりたいと決めていて、横浜市内にある工学専門学校で測量や構造、強度など、建築関連の勉強をしました。

    卒業後は厚木市内の大手ゼネコンに務め、高層マンションなど、コンクリート建築に携わります。休日は父親の仕事を手伝い、めざす大工の仕事を身につけていきました。5年間の務めをやめて、いよいよ戸建てを扱う大工の道に入り、ひとり立ちできるようになります。大工として誠意を持って建てる家、住む人に喜んでもらうことが何よりのやりがいで働き通してきました。

    民商はお父さんの代から会員です。木地谷さんも、民商事務局に勧められて10年ほど前に自身も入会しました。民商の支部役員会は忙しくても出席するよう心掛けていて、やり取りされる様々な情報は、商売や暮らしの力になります。

     

    迫られる低単価・短納期

     

    新築の戸建て住宅を専門に手掛ける木地谷さん。大工になりたてで、お父さんと一緒に働いていた当時から契約単価は大きく下がっていると言います。一人ひとりの職人に支払われる手間賃は、当時一坪あたり6万5千円ほどだったのが、現在は3万〜4万円です。ひと月の基本給にすれば30〜40万円とれるかどうかです。ここから道具の購入や車の燃料、生活費などをすべて賄います。道具の種類も多くなり、安いものを購入すると壊れやすく、何度も買い替えなくてはなりません。このところの物価高騰は本当に痛手です。とりわけ遠方の現場などではガソリン代が深刻で、収入に対する経費の割合が大きく跳ね上がっています。「大工は一ヵ月、最低でも50万円ないとやっていけないです」と、ため息をつく木地谷さん。道路事情を考え、朝は現場まで2時間を見込んで自宅を出ます。昼食は買えば楽ですが、せめてもの節約にと、仕事の後に値段と相談して食材を買い、弁当やお茶も準備し、やりくりしています。

     

    継承する若者がいなくなる

     

    手間賃の安さや仕事のきつさなどが要因で、現場は人手不足が解消されません。一方で、以前のように丁寧に仕事を進められるような原状ではなく、休みも取れないほど工事期間は大きく短縮されています。

    請け負った仕事を納期に間に合わせるためにスピードが優先され、若い職人がいても、ゆっくり教える暇がありません。大手ハウスメーカーなどが進出し、効率優先で建築の技術も様変わりしています。材料を吟味し、木材に墨付けしてきざみ、柱には丁寧に鉋をかけ、道具も大事に手入れする。職人として大切にしてきた技術や理念から遠のく現実に木地谷さんは胸を痛めています。

    若手の不足は深刻で、40代までの職人数はこの12〜13年で半減していると言います。技術が継承されず、一棟丸ごと「家」をつくる技術は絶えてしまう、と危惧します。左官・内装・建具・畳・タイルなどの専門職も事情は同様です。

     

    インボイスが廃業の引き金

     

    10月に実施予定のインボイス制度。「どうする?」と親会社から連絡がありました。マイナンバーのことなども大工仲間の間でも話題になっていますが、実態が分からない状況だと言います。ただでさえ物価高騰で厳しい中、さらに増税となる制度で、一人親方の廃業が増えるだろうと憂いています。

    所得が少ない底辺から税金を巻き上げて、電子インボイスで取引を監視する政府のやり方を変えなければ、と話す木地谷さん。今年も秋に取り組まれる県商工労働部との交渉に参加する意欲で、商売を守り生きていくために、自治体や国に業者の実態と要求を伝える決意です。

  • 日本は世界の非核化へ役割果たせ!原水爆禁止世界大会に参加して

    8月7〜8日におこなわれた原水爆禁止世界大会in長崎に民商・神奈川県連から4人が参加しました。神奈川県連代表の大和民商・松谷高英さん、厚木民商・堀池直樹さんの手記を紹介します。

     

    被爆2世3世の苦しみ過去のことではない

     

    ウクライナ戦争をきっかけに岸田首相の「核抑止力」強化を目の当たりにしているうちに長崎に行ってみたいと思うようになり、参加しました。1日目の長崎市民体育館でおこなわれた開会総会では、この1年間で亡くなった長崎の被爆者は3314人で、原爆死没者は19万4607人と発表がありました。生き残った人たちも原爆症で苦しみ、被爆2世、3世の方が苦しんでいる話を聞き、「これは決して過去のことではない」と運動の継承の大事さを感じました。世界中に1万2500発もの核兵器が存在することに鳥肌が立つ思いでした。翌日の分科会は「佐世保基地調査行動」に参加。台風のため、午後から閉会総会がおこなわれ、岸本聡子杉並区長の「今こそ、核の傘の下にいる国々こそ核廃絶の運動が必要です」と呼びかけた連帯の言葉が印象的でした。

    (大和民商 松谷高英)

     

    仲間とともに平和を実現する努力を

     

    原水爆禁止世界大会への参加は2度目です。5月に開催されたG7広島サミットでの「核軍縮ビジョン」について、カナダ在住の被爆者サーロ節子さんは、「自国の核兵器は肯定し、対立する国の核兵器を非難するばかりの発信を被爆地からするのは許されない」と語っています。

    私も同様の感想を持ちました。世界が連帯し、核兵器禁止条約に一刻も早く核保有国が署名、批准すること。それが現在のロシア、ウクライナ紛争や北朝鮮のミサイル開発問題の解決につながるのは明白だと思えてなりません。今回の世界大会の中でも世界の非核化に向けて活動していく事が各代表から語られ、とても励まされる気持ちでした。

    大会中、台風6号が九州に上陸することが確定的だったので、急遽、日程が2日間に短縮され、分科会と閉会式を終えることができましたが、帰りの飛行機の時間との関係で最後まで参加できませんでした。短時間ながら楽しい思い出もできました。今後も民商の仲間と平和を進める努力をしていければ、と思っています。

    (厚木民商 堀池直樹)

  • 健康保険証なくさないで!

    民商・神奈川県連も賛同している「なくすな!保険証 スタートアップ学習会」が8月31日に横浜市内で開催されました。学習会には会場に54人が参加し、36カ所でオンライン視聴がされました。この集会をもって「なくすな保険証!神奈川連絡会」が結成され、県内の運動を進めることが確認されました。

    集会では、「マイナ保険証一体化の問題点と最近の動き―今後の運動を展望しながら」をテーマに、神奈川県保険医協会の知念哲事務局次長が学習講演を行いました。

    @ そもそも保険証とは
    A マイナ保険証での手続き
    B 保険証廃止の問題点
    C マイナのメリットの欺瞞
    などについて、医療現場で起きているトラブルや、制度としての不十分さや危険などについてわかりやすく説明され、参加者からは、「問題点がすっきり整理できた」と好評でした。神奈川県連からは松田常任理事(共済副理事長)が参加しました。

     

    共済会・県婦協が合同で学習

     

    9月2日、共済会理事会と県婦協常任理事会は合同でスタートアップ学習会の内容を録画で視聴しました。参加者は、デジタル化の名のもとで、誰もが安心して医療にかかれる事をめざす国民皆保険制度が崩されるおそれや医療現場で起きている混乱などを知り、運動を広げて中止させようと話し合いました。民商・神奈川県連は「現行の健康保険証を残してください」の署名に取り組みます。

  • 神青協ウェルカム!新しい仲間

    7月9日、横浜駅相鉄ジョイナスのバーベキュー会場で新入部員ウェルカムパーティーを開き、13人が参加しました。汗まみれで冷たいビールで乾杯し、肉を焼き満腹に。新入部員が家族連れで参加しました。新しい出会いがあり、楽しい時間を過ごしました。

7つのまちがいさがし

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