【神商連しんぶん2024年05月号】
  • 仲間の商売「社保倒産」から守る!―年金機構の強権的な徴収・差し押さえが横行―

    コロナ禍や物価高騰の影響で苦境に立たされている中小業者。社会保険料納付が困難になっている未納者に対し一括納付を求め、対応できない場合、容赦なく差し押さえとなる強権的徴収が相次ぎ、民商に相談が寄せられています。

    大和民商の2人の会員が相模原年金事務所から強行な取り立てを受けています。民商事務所で役員らも同席し相談。4月11日に、当事者2人と鈴木普会長、事務局など6人で年金事務所に納付相談に出向きました。

    民商会員だったお父さんから衣料品販売の経営を引き継いだAさんは、現在は首都圏のデパートに4ヵ所のテナントを持っています。店舗数も多いことから従業員もいくつかの就業形態をとりながら相当数の人数です。コロナ感染が拡大した時期、緊急事態宣言でデパートも休業を余儀なくされた期間もありました。おしなべて売り上げは激減。仕事は止まっても従業員の確保のため、給料は出さなくてはなりません。資金繰りが苦しくなり、社会保険料滞納額はやがて1千万を超えることに。換価の猶予を受けてつないできましたが、令和4年7月、大和から横浜に本店を移したことで横浜中年金事務所に移管され、2か所の支払いとなり苦慮していました。最長4年目の猶予で相模原だけで45万円。中年金事務所は猶予が受けられず遅れていたために360万円近い金額を一括で支払えと、強行に言われていました。

    人材派遣業のBさんは社会保険料の納付が困難になり、ホームページから全商連に相談したところ、大和民商を紹介され入会しています。業務委託の人材を多く抱えており、個人事業主にシフトしていきましたが、滞納額がかさんでいきました。換価の猶予を受けながらひと月20万円ほどの納付を続けてきましたが、この4月から70万円への増額が求められています。一気に支払うのは困難だと訴えると、「あなたが作った納付計画なのだから、無理なら換価の猶予を取り消して一括で納めてもらうしかない」と言われました。

     

    集団で実情を訴え

     

    社会保険事務所に出向く前に、事務所で実情を共有し相談。コロナ禍を過ぎても物価高騰や人件費高騰などで当初の換価の猶予申請の通りの納付が困難であることは共通しています。しかし双方、現年分はきちんと納めており、当初の計画は猶予期間にあてはめさせられた無理な計画だったことも分かりました。個々に窓口に電話で問い合わせていたところ、「計画通りに納付しなければ一括納付。相談に来られても応じられない」と言われたことも共通でした。

    改めて払える納付額にしようと考え、2人とも猶予期間の4年間では完納できないが、誠意を持って7年間で納める計画を立てました。

    経験の浅いBさんは、一人では自信がないとのことで、事務所から電話で相談にいくためのアポを取りました。その際も担当者は、「相談は受け付けられない」という話しで、途中で民商の参加者が電話を代わり、人権無視の対応に抗議し4月11日に相談に行く約束を取り付けました。

    当日は、それぞれが請願書を作成して持参。一人ずつ読み上げ、最初は拒んでいましたが、控えに収受印を押させました。この間の人権無視で強権的な対応に対し謝罪を求めると、「そのような対応をした覚えはないが、そのようにとらえられたのなら、以後気を付けます」と、一応の謝罪を受けました。

    その後、納付相談に入り、相談者が持参した納付計画書を見たうえで、「後日、連絡します」となり、この日は終了しました。

    Aさんは、26日に横浜中年金事務所にも相談に出向きました。当初は、他者の同行は認めないという姿勢でしたが、鈴木会長と事務局も立ち会いました。担当者3人が対応し、「すでに相模原年金事務所で換価の猶予は受けている事から、こちらでは対応できない」と回答。「95%の人たちは大変でも納めている。5%の人だけを認められない」と強硬姿勢でした。このままでは倒産すると訴え、4月末に10万円納付し、来月にまた相談する事となりました。

    その後、二人には相模原年金事務所から連絡があり、新しい納付計画に沿って、4月から7月までの納付が行われれば、その継続を認めるとの内容でした。

     

    過去最高の差し押さえ件数 直接支援・社会保険料引き下げを

     

    強権的徴収が加速する背景に、日本年金機構が2023年8月末の時点でリストアップした猶予適用事業者に年金事務所が連絡し、期間内で納付計画の策定を協議するよう求めています。新規発生分と猶予分を合わせてそれまでの2〜3倍の額を納めるよう厳しい最速が行われています。

    この事で、昨年度上半期の差し押さえ事業所数は2万6300社で過去最高の勢いと報じられています(2023年12月8日・朝日新聞)。

    コロナ後も売り上げが戻らない現状で、中小業者を社保倒産に陥らせないために、国は直接支援・社会保険料の引き下げを実施し、強権的徴収の是正を年金保険機構・社会保険事務所に指導すべきです。

  • 助け合い共済で仲間の健康を守る輪を広げ!各地で旅行やレクリエーション

    川崎中原民商共済会は3月24日、家族や友人にも旺盛に声をかけ、43人で春のバス旅行に取り組みました。行先は、東京豊洲市場の「千客万来」。朝の足湯でたまっている疲れを癒し、早々にお刺身やおやつを楽しむ人も。

    昼食はレストランで江戸のあさり飯などを食べ、午後は隅田川の景色を水上バスから満喫しました。

    神商連共済会は4月6日の第8回理事会で、6月の県連・共済会の総会に向け、未加入者への呼びかけと合わせ、元読者・元会員にも「お元気ですか?」の声かけを推進しようと話し合いました。各民商共済会の声かけの努力と工夫で、この1年間の集団健診の受診者やレクリエーションの参加者の数が、コロナ禍前の水準まで戻っています。楽しく活動し、仲間のいのちと健康を守る取り組みが各地で広がっています。

  • インボイスは増税の布石!4・7消費税ネット市民公開学習会

    「消費税を含む税の在り方を考えるネットワーク」主催の学習会「消費税減税で物価高は解消できるのか」(講師・経済ジャーナリスト荻原博子氏)が4月7日に開催されました。

    荻原さんは、「GDPは3期連続マイナス。賃金は上がっているというが実質賃金は22カ月連続で下がっている。好景気は一部の大企業だけ。コロナ対策の時のような支援金や消費税減税をすべき」と話しました。

    また、インボイスの狙いは、税率アップのとき複数税率にして国民批判をかわすことにあり、「消費税増税の布石」だと指摘。参加者からは、「こんなにいろいろとられていたのか。みんなで声をあげたい」と感想が寄せられました。

  • 税金の使い方切り替えよ!全県一斉宣伝キャラバン

    4月を中心として、「消費税減税・インボイス廃止!紙の保険証を残せ!」全県一斉宣伝キャラバンが各地で取り組まれ、賛同の声が寄せられました。

    山コース(中井町・大井町・開成町・南足柄市・山北町・松田町)が11日に、海コース(大磯町・二宮町・箱根町・真鶴町・湯河原町)が16日に取り組まれました。

    署名を訴えていると、15歳の中学生が、「5%から10%にあがって嫌です!」と話しかけてきました。高齢の女性は、「年寄りは死ねということでしょうか。税金の使い方が間違っています」と嘆きながら署名に応じました。

    広い年齢層から反応が寄せられ、「頑張ってください」と共感の声が多く寄せられました。

  • 商売・人生を語る
    「親子4代でつなぐ店の味おばあちゃんの声が聞こえる」
    川崎中原民商 焼肉らあめん不二 齋藤伸一・智恵子さん
    川崎市中原区木月住吉町32-24 電話:044-411-2143

    中学の同級生だった若者2人が結婚し、両親とともに毎日店に立ち41年。齋藤伸一さん、智恵子さん夫妻が営む「焼肉らあめん不二」。伸一さんの母方の祖父がおよそ80年前に川崎区で立ち上げた2店舗と、中原区の店を親子4代にわたって引き継ぎ、地域に親しまれてきました。今は、川崎区の店は息子の恭一郎さん夫婦が継いでいます。

    高度経済成長の時代、川崎の街は、活気に満ちていました。「給料は現金支給で、給料日の帰りにはみんな寄って楽しんでくれました」と伸一さんは振り返ります。

    昼はボリュームたっぷりの定食。カルビ炒め、牛スタミナ焼き、豚生姜焼き、ポークソテー、カルビ丼、豚キムチ丼、カレー、各種ビビンバやクッパ。ネットには、「スタミナ焼き、最高!」「次は何をいただこうか!」と、絶賛の書き込みが。夜は、定番の中華メニューに加え、テーブルごとに焼く焼肉が大人気です。仕入れは国産の肉。コロナ禍と物価高騰も重なり大変ですが、「信頼してきてくださる常連さんたちを思えば、簡単に値上げもできない。ギリギリまで頑張ろう」と、話し合ってきました。

    常連さんはほとんどがご近所さん。地域密着のお店は、お客さんも3代、4代と通い続けてくれています。「若夫婦の子どもさんが、働くようになって来店してくれる事などもあり嬉しいです」と智恵子さんは感慨深げです。

    百貨店勤めだった智恵子さんは結婚まもなく退職を決意。義理の両親から商売の心得を伝授され、伸一さんと歩んできました。商売でお金を得る感覚の戸惑いを感じていましたが、「商売は1か月で見ないで1年、3年と長い目で見ること」と教えてくれたのはお義母さんの江美子さん。

    孫の恭一郎さんと川崎区の店をずっと切り盛りしてきた江美子さんの最期のひと言は、「店、手伝えないでごめんね」でした。

    いつも寛大に子育てしてきた夫妻。「お父さんのような父親になりたい」と2人の息子たちに言ってもらえることが何よりの喜びと伸一さんは目を細めます。

    家族経営の店が、地域のお客さんたちの生活を豊かにあたたかく支えています。

  • ふいごとそろばん 川崎幸民商 山田 健太郎さん

    光陰矢のごとしとはよく言ったもので、今年で入局45年になった。入局当時は法人係の部署に回され、手書きで多桁式帳簿の作成や精算元帳なるものを作ったりした。言われるままやっていたので仕組みはまったく分からなかった

    ▼役員や同僚の援助なしには民商に残れなかっただろう。今やパソコンで計算するので昔の苦労が夢のようである。

    ▼自分が入局したときにはまだ消費税はなかったが、みんなで武道館での集会へ行ったり、民商で寸劇をやって導入反対運動をやった。「消費税は業者が負担するのではなく、消費者が負担するのだから負担はない」と、うまくだまされて導入されてしまった

    ▼蓋を開ければ、事業者が負担する付加価値税であり、間接税ではなく直接税だった。税率も3%が今や10%、ましてや消費税法で導入時に入れた低所得者をインボイス制度の導入によって事実上自ら放棄をさせられると言う理不尽がまかり通ってしまった

    ▼若い業者は、高度成長期の好景気の恩恵を受けないまま、負担だけ負わされているような気がする。業者が夢を持って仕事できるような世の中を作るため、微力を尽くしてゆきたい。

7つのまちがいさがし

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