【神商連しんぶん2024年07月号】
  • 神商連 第69回定期総会方針
    2024年6月16日 神奈川県商工団体連合会

    1、はじめに

     

    コロナ禍と物価高騰、1月に発生した石川県能登半島での地震が中小業者の営業とくらしに深刻な影響を及ぼしています。さらに、昨年10月に消費税のインボイス制度が導入され、税負担が重くのしかかっています。

    神商連はこの1年、消費税減税を求める運動とインボイス制度の導入反対、社会保険料の強権的な徴収の是正、納税者の権利の擁護・発展、戦争する国づくりを許さない取り組みなど、中小業者の生業を守り、社会的経済的地位向上を図る運動に全力を上げてきました。

    本総会では、こうした一連の活動を総括し、道理・団結・共同という民商理念を柱に、今後1年間の運動の方針を確認し、その実践の先頭に立つ役員を選出します。

     

    2、中小業者をめぐる情勢

     

    コロナ過では、社会保障の脆弱さが浮き彫りになりましたが、岸田政権により、今年度の社会保障予算は厳しく抑制され、国民健康保険や後期高齢者医療保険、介護保険、年金はいっそう改悪されています。さらに、子育て支援の予算を医療保険料への加算で賄おうとしています。

    城南信用金庫のアンケート調査(2024年3月)によれば、中小・零細企業の収益に関しては、「悪い」が25%、「変わらない」が45.9%となっています。また、コスト増加に伴う取引価格への転嫁状況においては、「まったくできていない」が3.8%、「ほとんどできていない」が14.6%、「一部できていない」が64.1%にのぼっています。こうしたもと、中小業者の倒産・廃業が進んでいます。この1年間で神奈川県内の民商では469人の会員が退会していますが、そのうち約半数が廃業を理由としています。一方、岸田政権は、半導体や電気自動車などを製造する大企業に対し、優遇税制を用意しています。

    政府は戦争する国づくりをめざし、憲法改悪の議論を国会で進めています。日米同盟を補完するため、敵基地攻撃が可能な巡行ミサイルなど、今後43兆円もの巨額の税金が軍事費に支出されようとしています。また、現在国会で審議されている秘密保護法の範囲(外交、防衛、テロ、スパイ活動)を経済分野にまで広げる「重要経済安保情報の保護及び活用に関する法律案」(経済安保)やすでに法制化されている「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(土地利用規制法)により、中小業者・国民が調査・監視の対象とされることになります。こうした悪政が、大企業などからのパーティー券購入で裏金を作った自民党議員によって推進されています。

    岸田政権の内閣支持率は20%台と低迷し、もはや末期的な状況にあります。自民党政治を終わらせ、中小業者が輝く社会を実現することが求められています。

     

    3、インボイス廃止、税務の??化(デジタル化)の本質的問題を明らかにする学習と運動の強化

     

    @インボイス対応で悩んでいる中小業者の相談の受皿に

     

    インボイス制度が2023年10月に強行され、中小業者の経営が潰されるという事態が広がっています。制度そのものの理解が深まらないまま登録した業者が多く、どこに相談したらいいか分からないという人が残されています。インボイス制度や新たに発生する重税への対応など、中小業者の相談の受皿としての民商の力の発揮が求められています。

    政府は、インボイス制度の導入でさらなる消費税率の引き上げを狙っています。こうした策動に強く反対する民商などの団体をけん制するため、税務相談停止命令制度が導入されました。さらに、納税者の権利を奪い、申告納税制度を骨抜きにするため、申告書への収受印の押印取り止めなど、税務のDX化が進められようとしています。

    こうした策動の目的は、中小業者・国民の所得を丸裸にし、税務行政を当局の都合のいい制度に変質させ、さらに、納税者の権利意識を薄めることにあります。本来、DX化は、納税者の権利やプライバシーをしっかりと守ることを前提に推進されるべきです。

    新しい税務システムなどに柔軟に対応しつつ、インボイス制度や税務のDX化の本質的な問題を明らかにし、そうした中身を地域の中小業者・国民に知らせる運動を強めます。

     

    A地域経済を冷え込ませ、賃上げの足かせとなる消費税の引き下げを

     

    2024年の春闘では、大企業が労働者の賃上げに積極的な姿勢を見せましたが、中小・零細企業にはこうした条件は整っていません。城南信用金庫の調査では、2024年の賃上げに関しては、「まだ決めていない」が33.1%、「賃上げの予定はない」が30.9%に上っています。賃上げしない理由に関しては、「賃上げの原資がない」が73.1%に達しています。

    従業員給与の原資に課税されることから、事業主にとって消費税は賃上げの足かせとなっています。人手不足解消には賃上げが不可欠であり、地域経済の回復という点からも消費税の減税が求められます。世界では、国連加盟の109カ国・地域(63%)が、付加価値税を引き下げ、国民の暮らしを守っています。

    民商として消費税減税・インボイス廃止の運動をいっそう強めると同時に、地域の消費税廃止各界連絡会の活動を再編・強化します。そうした運動を通じ、来るべき総選挙で野党の共通政策となるよう、消費税減税・インボイス廃止を争点化するため、世論を高めます。

     

    B申告納税制度を守り・発展させる運動

     

    税務のDX化の推進により、中小業者・国民への監視が強められています。その行き着く先は、申告納税制度の骨抜きであり、「納付すべき税額は、納税者のする申告により確定」するという納税者の権利が奪われることになりかねません。

    日本は先進国の中でも人権をめぐる状況が「後進国」として位置付けられています。例えば、世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数では、政治分野の男女格差は146カ国中139位で、世界ワースト10に入っています。こうした不名誉な地位にある背景には、日本国憲法を敵視し、「個人の尊厳」(13条)を実現しようとしない自民党政治があります。

    今日、申告納税制度を守り・発展させる運動は、中小業者の特有の問題ではなく、日本の社会進歩にとっても重要な課題と言えます。

    3・13重税反対全国統一行動の取り組みが「集団申告」に留まらない意義を持つことを知らせ、統一行動をいっそう推進します。

    倉敷民商弾圧事件・禰屋裁判の差し戻し審が進められる中で、当局による民商弾圧の様相が明らかになってきています。自主申告運動への権力の介入をゆるさないためにも、裁判勝利に向けた支援を強めます。

     

    C応能負担の税制を実現し、納税者の権利確立を

     

    そもそも消費税は、所得の高い人には負担が軽く、低い人には負担が重いという逆進性の強い税金です。担税力のある人には負担を重くし、ない人には応分の額を求めるのが近代税制の基本ですが、日本では、大企業・富裕層が優遇され、一方で、「税金で商売、暮らしが潰される」という状況が広がっています。このことが格差をますます大きくしています。さらに、社会保険料をやむを得ず滞納している中小業者への人権を無視した強権的な徴収も強められています。

    改めて、納税者の権利について学び合い、中小業者・国民本位の税制の確立をめざします。

    また、ジェンダー平等を求める声がかつてなく広がる中、所得税法56条の廃止は、日本の民主化にとって不可欠なものとなっています。自家労賃を認める税制を確立させるため、自治体請願など、取り組みを大きく広げます。

     

    4、会員の経営力を高める民商らしい対策を

     

    @会員が学び合える経営交流

     

    民商・県連は、会員の経営力を高め、中小業者が営業しやすい環境を築くため、全商連の経営交流会への参加や自治体との懇談に取り組んできました。

    コロナ過の影響や物価高騰が深刻な経済状況を生み出しているだけに、仲間同士で知恵を出し合い、商売について経営交流を深める取り組みが会員に喜ばれています。

    厳しい環境の中でも、売上を伸ばしている事業主もいます。どうやって商売を伸ばしていくのか、会員・役員が知恵を出し合えば、打開の道は開けてきます。経営の見直しや新しい事業への挑戦、新規開業、補助金の獲得、事業計画書作りなど、経営力を伸ばすため、民商らしく商売を語り合い、学び合える交流を推進します。

     

    A業者の一言を集め、自治体に届ける懇談活動

     

    昨年、民商・県連が取り組んだ自治体との懇談では、各行政も中小零細企業・業者への対策を真剣に講じていることが明らかになりました。地域経済を守り・発展させるという事では、どの自治体も中小業者の生の声を参考にしようという姿勢があります。会員の思いや一言を集め、自治体に届けることは、大変に価値ある活動といえます。

    公正な取引ルールの確立や中小業者の実態に即した施策など、必要な意見・要望は率直に述べつつ、地域経済を守り・発展させるという立場で自治体との懇談を推進します。

     

    B融資獲得の取り組み

     

    2023年夏に実施した神商連実態調査アンケートでは、商売・仕事上の課題・困りごととして、「資金繰り」が26.5%に達しました。資金繰りに「余裕がない」が56.1%、借入の有無は、「ある」が62.1%でした。借入の用途は、「運転資金」が59.4%、返済に関しては、「苦しいが何とか返済」が59.4%でした。

    コロナ禍で中小企業向けに実施された「ゼロゼロ融資」の返済に対し、政府は借り換え保証などの資金繰り対策を今年6月まで延長しています。東京リサーチによれば、ゼロゼロ融資を利用した企業の倒産は、2023年度に622件と年度ベースで過去最高を記録しました。特に飲食や建設関連が目立っています。

    経営難にある中小業者が生き残れるよう、国や自治体に対し経営維持のための債権放棄や棚上げを含む金融支援を求めるとともに、低額で借りやすい制度創設を働きかけます。

     

    5、国保・社会保障の改悪を許さず、地域住民を守る医療・福祉の拡充を

     

    神奈川県社会保障推進協議会が2023年に行った県下33自治体の国保課との懇談では、自治体が独自に行っている国保予算への一般会計からの繰り入れや基金の取り崩しを国が厳しく規制し、国保加入者の保険料値上げの抑制や減免措置が大変困難になっていることが明らかとなりました。

    後期高齢者医療の保険料の値上げが予定されています。介護報酬と診療報酬の引き下げにより、地域の介護・医療体制がますます脆弱になることが懸念されています。また、12月にはマイナ保険証の切り替えが強引に進められようとしています。

    中小業者・国民が安心して医療・福祉を享受できる社会をめざし、社会保障の拡充を求める運動をいっそう推進します。

    自治体に対し、国保料(税)の値上げをやめ、払える金額に引き下げることや減免制度の拡充を求めます。同時に、自治体からも国に対し、国保への国庫負担の増額について意見を上げるよう要請を強めます。

    マイナ保険証の実施を中止させ、紙の保険証を存続させるため、署名・宣伝活動を強めます。

     

    6、憲法を守り、平和な神奈川を

     

    多くの米軍基地を抱える神奈川県は、岸田政権が進める大軍拡により、米軍が関与する戦争に巻き込まれる危険が高まっています。

    人気の観光地・みなとみらいにある米軍輸送拠点「ノースドック」に小型揚陸艇部隊が新たに配備されました。兵站基地は、敵の攻撃目標となることから、横浜港が狙われる可能性が高まっています。

    経済安保や土地利用規制法により、軍事目的から中小業者が調査・監視対象にされ、営業に深刻な問題が生じることが懸念されます。

    日本は唯一の戦争被爆国であるにも関わらず、岸田政権は、核兵器禁止条約を批准しないという恥ずべき態度をとっています。

    軍事で平和は守られないことを、ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ攻撃が示しています。憲法9条を持つ国にふさわしい外交努力こそ求められます。

    「平和でこそ商売繁盛」の土台です。平和行進や原水爆禁止世界大会、3・1ビキニデー、平和大会などに積極的に参加し、軍事基地のない平和な神奈川の実現に尽力します。

    民主的な政治をめざし、市民と野党の共闘のため奮闘します。

     

    7、中小業者の相談の受皿としての力の発揮を

     

    @役員中心の活動のいっそうの強化

     

    民商では、難しい税務や行政手続きの煩雑さを事務局員の力を借りて解決するということが長く当たり前になっていることから、会員主人公、役員中心の活動が弱まってしまっています。今日、事務局体制も盤石ではなく、今年の確定申告の相談活動の中では、「気が変になりそう」との事務局長の悲鳴も聞かれました。

    経営の大変さもあり、会員が集まること自体がとても困難になっています。一方で、民商の平和運動に共感し、役員となって税金相談に積極的に参加している会員や、若手業者をさまざまな取り組みに誘うため、努力を続けている役員もいます。

    これまでの活動スタイルを改善し、役員が申告や記帳の相談活動などの前面に立てるよう学習や経験交流などを思い切って強めます。

     

    A相談の受皿力を高める

     

    インボイス反対の運動では、民商が先頭に立って奮闘してきました。同時に、登録する・しない場合の対応についても、その業者の立場に立ち、親身になって相談にのってきました。制度が開始された今、今度は「生きることが優先する」の立場で、業者として生業を続けられるよう援助することが求められています。

    民商には、中小業者が生き残るためのあらゆる知恵と実績が蓄積されています。役員・会員たちが持つ知識と経験を交流し、商売と暮らしを守る運動の糧にできるのが、民商の最大の魅力といえます。

    大量宣伝と合わせた相談会を定期開催するなど、中小業者の相談の受皿としての力を改めて発揮します。

     

    8、商工新聞をよく読み、力にすることを活動の中心に

     

    商工新聞には、中小業者が営業を続け、暮らしていくための情報が詰まっています。機関会議やさまざまな集まりで商工新聞を読み合せ、記事を対話のツールとするなど、よく読み、活用する活動を推進し、全国の先進的な取り組みや経営に役立つ情報を会員同士が共有できるよう工夫します。こうした取り組みを土台に、会員が知り合いに購読を勧められる環境を広げます。そのためにも、まず役員が率先して商工新聞を読むようにします。

     

    9、全会員に依拠し、減らさず増やす拡大に挑戦

     

    会員訪問・対話を日常的な活動として位置付けている組織で、拡大に前向きな変化が生まれています。会員同士や会員と役員が顔見知りとなり、交流を深めてこそ民商運動への理解が広がります。

    会員をはじめ、中小業者は何らかの悩みを抱えています。インボイスの問題では、相談する相手がいないという調査結果が示されています。こうした人たちを民商に結び付けることができるのは、同じ業者である会員に他なりません。

    人と人との交流を何よりも大切にするのが民商です。しかし、コロナ禍で会員同士の交流が途絶え、そのことが活動上の大きな障害となっています。日常的な班・支部での活動や会員の要望に応えた学習やレクリエーションなどを通じ、膝を突き合わせた交流を多彩に取り組んでいく必要があります。

    毎月1%の会員、2%の読者の拡大目標を握って離さず、全会員に依拠し、困っている中小業者を民商に繋ぐ紹介運動を大いに推進します。

    また、HPやSNSの活用、民商紹介ビラ、宣伝カーの運行、立て看板など、宣伝活動を総合的に展開します。

     

    10、財政活動

     

    民商は、商工新聞の配達や会費の集金を通じて会員同士が顔見知りとなり、その中で班や支部の集まりや学習会、レクリエーションなどへの参加を誘い合い、交流を深め合うことを大切にしています。

    今日、部外者が簡単に敷地内に入れないマンションが増え、また、会勢の後退で会員同士の家が遠くなり、気軽に会うことが難しくなっています。さらに、高齢化や働き方の変化、家族との時間の重視など、活動参加が困難な会員も増えています。こうした状況のもと、会員に依拠した配達・集金体制をどう作っていくか、大きな課題といえます。

    民商運動は、会費と商工新聞代で成り立っており、集金体制を確立し、未納をなくすことなしに会の健全な運営は成り立ちません。一部の役員や事務局が財政活動の負担を担うのではなく、組織として問題を解決していくため、機関会議や財政部会で集団討議を深めると同時に、会費の持つ意味について、機会あるごとに一人一人の会員に伝えていくことが求められています。

    五点改善(@15日までに集金を終わるように努力し、当月分は当月中に集金し、未収の積み重ねによって退会者や購読中止者を出さないようにする、A班・支部を中心に日常的な活動のなかで集金体制をつくり上げ、班・支部の会議でも財政問題を話し合うようにする、B財政部会を定期的に開き、毎月の予算執行率を明らかにし、未収の内容を個々につかみ具体的な解決策を講じる、C要求運動に見合った財政計画をその都度つくり、積極的に募金運動をおこなう、Dすべての組織は、月一度は必ず送金し、民商・全商連を財政的に保障する)を堅持し、配達・集金体制の確立を追求します。

     

    11、共済会や婦人部、青年部と一緒に民商運動の魅力の発揮を

     

    共済会は全商連共済会の運動推進助成金を活用し、コロナ前に匹敵する集団健診やレクリエーション活動を実施しました。こうした取り組みには、家族連れや日頃民商の取り組みに参加していない会員も顔を出しています。

    婦人部は、商売を語り、元気のでる活動に取り組もうと「みんなマルシェ」を開催し、その中で、新しい婦人部員やベテランの会員が自身の商売・人生を語り、多くの共感を生んでいます。

    青年部は、各民商での独自の活動が弱まっていることから、県内の青年・若手業者とのネットワークを再構築しようと話し合っています。

    共済・婦人・青年の活動は、民商運動の大きな魅力の一つであり、これらの活動が豊かに発展してこそ、民商も強く、大きくなります。

    共済会と婦人部、青年部が世代承継し、ますます活発に活動できるよう援助を強めます。

     

    12、おわりに

     

    さまざまな困難が中小業者の営業と暮らしを脅かしています。その根幹に大企業優遇・米国追従の悪政があることは明らかです。

    商売を取り巻く環境が変わり、頑張って働き詰めても暮らしていけない状況が広がっています。会員には余裕などなく、そのため役員の担い手も見いだせないでいます。「5年後の民商を想像できない」との声も聞こえます。現状は大変に厳しいですが、県内の全組織は歯を食いしばって、この状況を打破しようと日夜努力しています。

    中小業者・国民の営業と暮らしを守るためには、読者・会員の倍化など、大志ある活動が求められます。

    私たちには、長年培ってきた中小業者運動の豊かな経験とたくさんの知恵があります。団結を強めるなら、必ずこの状況は克服できます。県内および全国の仲間と連帯し、中小業者に光があたる情勢をみんなで切り開いていきましょう。

     

    《神商連三役》

     

    会 長  富塚 昇
    副会長  下谷清人
         下地勝己
         岩森壮介
         漆原 晃
         鈴木 普
    会 計  山岸 勇
    事務局長 吉田 剛

  • 神商連共済会 第51回定期総会方針

    (1)はじめに

     

    神商連共済会はこの1年間、コロナ禍の影響と物価高騰、円安で苦しむ民商会員・中小業者を励まし、仲間同士の温かい交流を取り戻すため、いのちと健康を守る運動に奮闘してきました。

    とりわけ、全商連共済会の「共済運動推進助成金」を活用した多彩な活動が展開され、コロナ禍前の行動参加者数に近づくことができました。こうした取り組みは、多くの民商会員たちに歓迎されています。

    新型コロナ感染症は、2023年5月8日より、季節性インフルエンザと同じ扱いの5類に引き下げられました。しかし、定点観測によれば夏や冬に感染者が増加する傾向にあり、依然として注意が必要です。

    全商連共済会は、2020年1月から23年7末まで、新型コロナ感染症による見なし入院を見舞金の対象とする特別措置を決定し、感染で療養した全国の共済加入者2万6632人(神奈川684人)に激励を込めて届けてきました。世界的なパンデミックの中において、営利を目的としない民商共済会の助け合いの力が遺憾なく発揮されたといえます。

    新型コロナのパンデミックで医療体制の脆弱さが浮き彫りになったにも関わらず、岸田政権は、社会保障のさらなる改悪を推し進めようとしています。国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料の値上げが予定され、介護報酬と診療報酬の改悪により、地域の介護・医療体制がますます弱まることが懸念されています。今年12月には、トラブルだらけのマイナ保険証への切り替えが予定されています。さらに、昨年10月に強行された消費税のインボイス制度により、払いきれない重税が中小業者を襲っています。パーティー券で裏金を作り、脱税を行った自民党国会議員らが、中小業者・国民に過大な税負担を押し付け、大軍拡を行なおうとしています。営業と暮らしを守るためにも、自公政治を終わらせる必要があります。

    いま、「お元気ですか」と声を掛け合い、お互いの営業や健康を気遣い合う民商の共済運動の役割が、ますます重要になってきています。

    本総会は、こうした助け合い共済の運動を民商と一緒に発展させる運動方針と、その先頭に立つ役員を選出することを目的に開催します。

     

    (2)民商らしい集団健康診断活動

     

    新型コロナのパンデミックにより、民商共済会の集団健康診断の受診者数は減少傾向にありましたが、2023年は1281人(2019年1564人、2020年1299人、2021年1162人、2022年1126人)まで回復させることができました。

    事業が成功するかどうか、元気に商売を続けられるかどうか、これらはすべて自己責任という風潮が強まっています。そうした中、民商共済会の「いのちと健康を守る」運動は、中小業者の切実な要求に応える活動であり、また、新自由主義に対する対抗軸となっています。

    仲間同士が声掛け合って健康診断を受診するという民商らしい共済会の運動が、かつてなく待たれています。しかし、コロナ禍以降、受診者側も、受け入れる診療所や病院の側も、こうした取り組みが大変困難になっています。

    全会員の「いのちと健康を守る」活動として、すべての民商共済会が「未受診者ゼロ」を目標に取り組みを強めます。

    さまざまな事情で集団健診に参加できない仲間もいます。そうした場合でも、すべての加入者へ声掛けを行い、近隣の民医連診療所やかかりつけ医で市の健診項目を受診することを促します。こうした取り組みを強めることで、未受診者ゼロを目指します。

    全商連共済会によれば、2023年に全国で乳がん検診を受診した人数は133人、子宮がん検診の受診者は50人でした。婦人部と相談・協力し、乳がんなどの婦人科検診を大いに取り組み、受診者を積極的に増やすよう運動を強めます。

    特定の疾患の治療を行っていても、自らの健康状態を全般的に把握する健診の受診は必要です。通院加療中の仲間にも、集団健診の受診を促すようにします。

    こうした活動を進めるにあたっては、班・支部でのコミュニケーションが必ず求められますが、高齢化などから活動量が落ち、県内では一部の民商共済会しか、こうした取り組みが出来ていません。

    目くばり・気くばり・心くばりの精神で、未受診者ゼロへの道に一歩踏み出すため、共済会で議論を深め合います。

     

    (3)多彩な助け合い運動で新たな仲間づくりを

     

    新型コロナのパンデミックがはじまって以来、仲間同士が交流する共済会らしい取り組みが弱まっていました。この1年、こうした状況を改善させようと、全商連共済会が創設した「共済運動推進助成金」を活用し、神奈川県内の民商共済会は多彩な活動を展開してきました。

    レクリエーションの取り組みでは、2023年は参加者が498人(2019人460人、2020年28人、2021年31人、2022年177人)にまで戻り、コロナ前を上回る参加者を迎えることができました。

    役員と事務局の体制が困難を極める中、ここまでの水準まで運動を回復させることができたのは、助け合い共済の精神を組織の隅々まで行き渡らせ、共に苦境を乗り越えようと全県が一丸となって奮闘してきたからに他なりません。

    バス旅行やバーベキュー大会、花見、果物狩り、ボーリング大会、健康マージャン教室、昼カラオケ、民商健康まつりなど、創意工夫を凝らしたイベントが実施され、好評でした。その中には、家族連れで参加する方や普段の運動には顔を見せてもらえなかった会員も参加してもらえるなど、運動の新たな展望が開かれました。

    民商と共済会の運動への理解を広めるためにも、こうした取り組みを引き続き強めます。

     

    (4)会員加入率90%を目標に、仲間増やしを旺盛に

     

    県内の民商共済会は、会員加入率向上をめざして、毎月1%の加入者拡大に取り組んできましたが、退会者が加入者を大きく上回る状況が続いています。

    安定してすべての民商共済会が会員加入率80%を超え、その中で、全会員加入に向け、加入率90%をやりとげることが求められています。

    震災などが発生するたびに、助けられる仲間と助けられない仲間が生まれ、悔しい思いを繰り返してきました。こうした事態を再び生まないためにも、未加入者へ訴えを広げきることが重要です。

    毎月1%の加入者拡大を握って離さず、会員加入率90%を早期に達成するよう奮闘します。

    さまざまな困難から共済活動が十分に取り組めていない民商共済会への援助を図り、すべての組織が会員加入率80%を達成できるよう同時加入と未加入者への訴えをいっそう強めます。また、会員拡大に貢献できる共済会をめざします。

     

    (5)共済デーの毎月実施を

     

    民商会員とその家族、従業員で構成される民商共済会は、仲間同士でいのちと健康を守るために活動する組織です。

    会員一人一人が毎月拠出し合う1000円の会費が、私たちの活動の原資となります。そのため、仲間が減れば助け合いの力も弱くなります。

    今、会員の高齢化や日本経済の深刻さから、民商会員の廃業が相次いでおり、それにともない、共済加入者の人数も大きく減少しています。

    この1年、民商共済会は、集団健診やいのちと健康を守る学習交流会、会員の心をつなぐレクリエーションなどを取り組んできました。また、慶弔金や見舞金の支払いのほか、新型コロナのパンデミクスに対しても特別見舞金を設け、感染者に激励を込めて届けてきました。こうした取り組みは、多くの会員たちから喜ばれています。

    しかし、加入者の人数が減れば、こうした民商らしい助け合い運動が困難になります。

    新しい仲間を民商に迎える時は、共済会への同時加入を徹底し、配偶者の加入も訴える様にします。

    会員が増えてこそ、共済運動も発展します。共済会として、民商会員の拡大を積極的に取り組みます。同時に、共済会独自に「共済デー」を毎月実施し、加入者の増勢を追求します。

     

    (6)共済運動の担い手づくりを本格的に

     

    第50回総会時、共済運動の新たな担い手づくりを課題として、意識的に取り組んできました。そうした努力もあり、会内で若手を運動に参加してもらおうという流れが生まれつつあります。

    「2023年度いのちと健康を守る活動 班の共済係・支部共済役員の確立状況」では、全県で共済係がいる班が86班(全331班)、共済役員がいる支部が59支部(全94支部)となっています。困難な状況の中、役を引き受けてくれている会員の方々に思い切って依拠し、運動を広げていくという視点が求められています。

    先進を築いている全国の組織の特徴としては、常に活動に協力してくれる役員や会員が会員比で10%から20%程度いることが共通点として上げられます。

    学習やレクリエーションなどを通じ、新たな共済運動の担い手づくりを、引き続き強めます。

     

    (7)おわりに

     

    この1年間、私たちは、コロナ前の活動水準に共済運動を引き上げようと、みんなで知恵と力を出し合い、奮闘してきました。このことは、今後の共済会の発展にとって大変重要な意味を持っています。

    全商連共済会は、集団健診活動助成金の2000円への増額措置を2026年3月まで継続することを決定しました。また、いのちと健康を守る学習を強めるため、新たに「いのちと健康を守る学習助成金」を2024年4月から設けることにしました。こうした条件も最大限活用し、民商らしい共済運動を大いに推進しましょう。

     

    《共済会三役》

     

    理事長  漆原 晃
    副理事長 松田國男
         長沢隆輔
         加藤貞一
    会 計  山口千代松
    専務理事 吉田 剛

7つのまちがいさがし

民商紹介ムービー

県下民商のホームページ